阿川雅俊(昭和41年3月卒)著「榮全上人を追いかけて」―江戸時代の記録から―

 

 

 南高在校時代、部活が終わって下校準備をしているとき、寒い冬にも関わらず冷たい水道水を浴びている先輩がいました。何ておかしな人だと思ったものです。その人がこの本の著者、佛法山 興林寺住職 阿川雅俊(あがわ がしゅん)さんだったのです。
 さて、JR八王子駅の南側、八王子税務署のすぐ近くにある興林寺の境内には、歴代住職の墓があります。その墓石の一つに刻字があることに気付いた阿川さん、その内容が第二十三世住職「榮全」の一生と遺言であることを読み取ります。そして「榮全」にはまってしまいます。そこは南高の卒業生、並みの探究心ではありません。遠い昔の僧侶に出会いたくて、その素性、軌跡を実際に旅して調べ上げました。その結果、徳川家菩提寺として有名な東京港区芝にある増上寺の歴史研究にまでつながる貴重な資料ができました。この資料はいまや研究者の間でも注目されており、その内容を一冊にまとめたのがこの本です。

              (昭和45年3月卒 小林幹彦 記)